広告主事例

なぜ、産業能率大学はOOHを選んだのか。Web広告がコモディティ化する時代の新たな一手|産業能率大学様

少子化が進み、大学間の競争が激化する現代。各大学は、自校の魅力をいかに高校生や保護者に届け、選ばれる存在となるかという課題に直面している。その中で、「学生の成長」を教育の核に据え、独自の強みを持つのが産業能率大学だ。
「就職に強い」という既存のイメージに加え、「成長できる大学」という本質的な価値をどうすれば広く社会に浸透させられるのか。同大学の広報戦略を担う入試企画部のお二人に、現状の課題からユニークな広報施策、そして今後の展望まで、詳しくお話を伺った。

産業能率大学 入試企画部 企画課長渡邊道子 氏


産業能率大学 入試企画部 企画課花家和明 氏

大学のアイデンティティは「学生の変化と成長」

―皆様が所属する入試企画部の役割をお聞かせください。
私たちの部署では、大学のブランディング全般からSNS運用、Webコンテンツ制作まで幅広く担当しています。メンバーには、20年以上、学生が興味を持って取り組めるような科目開発やブランディングを担ってきた者もいれば、広告代理店やベンチャー企業を経験した卒業生もおり、多角的な視点から戦略を練っています。
―現在のミッションや、今後の目標について教えていただけますか?
もちろん学生募集に関わる部署なので入学者の確保が第一ですが、それ以上に「学生が4年間で本当に成長できる大学である」ということを社会に認知してもらうことが我々のミッションです。本学では、半年、一年という短期間でも、前に出て発表ができなかった学生が率先してプレゼンするようになるなど、目覚ましい変化が見られます。
現時点ではこの「成長できる」という強みは、まだ社会に浸透しきっているとは言えません。しかし、卒業生が就職先で新人賞や社長賞を受賞したという嬉しい報告を頻繁に受け取っており、我々の教育の価値を確信しています。

ブランドを体現する「コア・ファンの作り方」

―そんな御校の魅力を、高校生にどのように届けているのでしょうか。
我々には、一度オープンキャンパスに来て学生を見てもらえれば、その熱量や学びの充実度を肌で感じ、「コアなファン」になってもらえるという、何十年もかけて築き上げてきた“勝ちパターン”があります。
しかし、その最初のリアルな接点へどうやって誘導するかが大きな課題です。かつては高校訪問を重視していましたが、それだけでは限界があります。そこで重要になるのが、まだ本学を詳しく知らない生徒との接点をつくることです。
―大学のブランドを体現する、最もユニークな取り組みは何でしょうか。
本学の姿勢が最も表れているのが総合型選抜の各方式です。文部科学省に好事例として取り上げられている方式もあります。志願者を増やすだけなら入試のハードルを下げればよいのですが、本学はそれを行なっていません。実践型の課題を課していて、高校の先生からは「産能の総合型選抜は覚悟がいる」と言われています。
しかし、このプロセスを乗り越えること自体が、受験生にとって大きな成長体験になります。最初は数行のレポートしか書けなかった生徒が、数ヶ月後には見違えるような成果物を仕上げてくる。その体験が自信に繋がります。「入試の時点でも成長できる」。これこそが、「学生の成長に本気になる」という大学からの最も強いメッセージであり、我々の生命線です。
また、学生のリアルな姿を捉えたクリエイティブな施策も重視しています。例えば大学公式TikTokの動画企画・制作は、在学生の運用チームと協働し、大きな反響を呼びました。

Web広告の次の一手。新たな課題とOOHへの挑戦

―これまでのマーケティング活動における課題は何でしたか
昨今は大学の選択肢が増え、競争が激化する中で、高校生や保護者が大学の個性や違いを理解しにくくなっていると感じます。その結果、大学の知名度だけで「いい大学だ」と安心してしまう傾向がより強くなっているのではないでしょうか。
そうした中で本学の課題は、高校生への認知度の低さです。Webサイトを見てもらえれば「ビジネス系の面白そうな学校だ」と感じてもらえるのですが、その手前の段階では、まだ特徴が浸透しきっていないと感じています。
―そうした課題がある中で、OOHに興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか。
かつて、他大学に先駆けてGoogleディスプレイ広告を積極的に活用していた時期があり、その頃は資料ダウンロード数が大きく伸びました。しかし、次第に多くの大学が同じ手法を取り始め、完全にコモディティ化してしまったという経緯があります。常に新しい手法を模索する必要性を感じていましたし、特に位置情報を活用した広告には注目していました。
本学の湘南キャンパスは、その立地から志願者を集めるのが容易ではありません。かつては自由が丘キャンパスの定員から溢れてしまった志望者が入学することもありましたが、昨今の人口減少でその流れもなくなりました。そのため、特定のエリアに絞ってターゲティングできる広告手法に元々興味をもっており、特に今回はオープンキャンパスという明確なイベントへの集客が目的でしたので、エリアを絞る必要がありました。

OOH実施の決め手と、マンションサイネージを選んだ理由

―OOHの実施にあたり、懸念点などはありましたか?
正直、「本当に見られるのか?」という不安はありました。特にエレベーターでは、多くの人がスマートフォンを見ていて広告は見られていないのではないかと。ただその点に関しては、AIカメラによる視認計測の仕組みをご説明いただき、実施してみることにしました。
―数あるOOHの中から、今回マンションサイネージを採用された背景を教えてください。
エリアターゲティングの精度の高さと、保護者にリーチできるという2点が決め手です。オープンキャンパスに来場してほしいターゲットが住むエリアにピンポイントでアプローチできるのはもちろん、大学選びで重要な役割を担う保護者の方々に直接リーチできる点も大きな魅力でした。
―今回のOOHで放映したクリエイティブで、意識したポイントはありますか?
今回はオープンキャンパスで実施する謎解きコンテンツの告知動画を放映しましたが、人気声優を起用した告知動画を放映することで、本学の専門性である「コンテンツビジネス領域」と、学生の興味関心を結びつけるようにしました。
昨今、知的財産ビジネスが隆盛していますが、本学ではキャラクターコンテンツビジネスを専門的に学べる強みがあります。今回企画した謎解きコンテンツでは、参加者に「企画の面白さの裏側にある学び」が伝わるよう設計していました。結果として、多くのメディアから取材を受けるなど、良い波及効果も生まれました。毎年新しいことに挑戦し、発信し続けるようにしています。

OOHを活用した長期的なブランド強化

—最後に、今後のプロモーション展開についてお聞かせください。
我々が目指しているのは、短期的なイベントへの集客だけではありません。「成長できる大学=産業能率大学」というブランドイメージを社会に根付かせ、第一想起される存在になることです。そのためには、Web施策とリアル施策を組み合わせ、継続的に訴求し続けることが不可欠です。
これまでアプローチできなかった層にも本学の魅力を届け、地域の人々の生活に溶け込みながら長期的に認知を底上げしていくために、今後もOOHを戦略的に活用することで、大学の未来を支える太い幹に育てていきたいですね。


左から、オーマッチ株式会社 鈴木、産業能率大学 入試企画部 企画課長 渡邊道子 氏、産業能率大学 入試企画部 企画課 花家和明 氏、オーマッチ株式会社 枳穀

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