創立100年を超える歴史を持ち、世界トップシェアの製品を有している日本曹達株式会社。一方で、化学系のBtoB企業であるがゆえに、一般生活者や若年層にとっては馴染みがない、知名度が低いという課題を抱えていた。
そうした中、日本曹達では近年、コーポレート広告の在り方そのものを見直し、
「中長期的に認知と信頼を積み上げていくための広告」 に取り組み始めている。
今回は、広報・IR課長の岡田氏と、同課でコーポレート広告・PRを担当する田原氏に、
これまでの取り組みと、今後を見据えた考え方についてお話を伺った。

日本曹達株式会社 総務部 広報・IR課長岡田氏

日本曹達株式会社 総務部 広報・IR課 コーポレート広告・PR担当田原氏
【日本曹達株式会社 会社HP】
https://www.nippon-soda.co.jp/
現場を知る広報責任者が感じていた違和感と気づき
―まずは、お二人のご経歴と現在の役割について教えてください。
私は2004年に日本曹達へ入社しました。最初は新潟県にある工場での生産管理を担当し、その後14年間アグリビジネス分野に携わってきました。国内の営業統括や北海道での営業、南米での海外営業も経験しています。2020年以降は広報・IR課に異動し、IR業務に従事してきました。現在はコーポレート広報、IR、CSRの3つを統括しています。(岡田氏)
私は2024年にキャリア入社しました。これまで一貫して広報業務に携わっており、現在は公式キャラクター「そだまる」を軸としたコーポレート広告の企画、社外広報、社内広報を担当しています。(田原氏)
―改めて、日本曹達の事業や強みについて教えてください。
日本曹達は1920年創立の化学メーカーで、カセイソーダの電気分解から事業が始まりました。現在は「ケミカルマテリアル」と「アグリビジネス」の2事業を中心に展開しています。
ケミカルマテリアルでは、半導体材料、樹脂添加剤、医薬品添加剤の3事業を成長ドライバーの柱としています。当社独自の重合技術によって、他社とは異なる物性を持つ製品を提供できる点が強みです。特に、医薬品添加剤NISSO HPCは、錠剤用添加剤として世界シェアの約4割を占めていると想定しています。
アグリビジネスでは、殺菌剤・殺虫剤・除草剤を展開していますが、他社が市場の大きな穀物向け除草剤に注力する中で、当社は果樹や野菜向けの殺菌剤・殺虫剤に強みがあります。また、60年以上も前から海外展開を進めてきた点も特徴です。
―広報・IR課として、現在のミッションをどのように捉えていますか?
大きく3つあります。IRを通じた財務的な企業価値の向上、CSRやESG、SDGsといった非財務的価値の向上、そしてお客様や取引先、従業員、地域社会といったステークホルダーとの信頼関係の構築です。
特に最近強く感じているのが、社名認知の課題です。BtoB企業なので、一般の方からすると「何をしている会社なのか分からない」という状況がありました。
若年層向けの施策も重要ですが、就活生“だけ”に向けた広告に振り切るのは違うと感じていました。取引先や地域社会、従業員も含めたステークホルダー全体へのコーポレート認知が必要だと考えるようになったんです。
広告を広く出すより、狭く・深く届けるという判断
―これまでの広告で「届いていない」と感じたきっかけは何でしたか?
過去にある施策を行った際、届くべき人にしっかりと届いているのかという疑問が残ったのがきっかけです。
新聞広告も出していましたが、若年層にあまり読まれていないという現実がありました。こういった経緯から、これまでのやり方では限界があると感じていました。
弊社の拠点は北陸エリアに多いため、地元への密着性という点でことは足りていると感じていましたが、今後少子高齢化で若年層が減っていくことや、本社を置く東京での知名度が低いことなどから、広報施策の必要性を感じ、今回の施策へ踏み切りました。
―今回の施策では、どのような点を重視されたのでしょうか。
大きく分けて二つの点を重視しました。
一つは、理系学生や若手社会人をターゲットに、TVer広告やサイネージ広告を活用し、狙った層にダイレクトに届けることです
もう一つは、従業員のエンゲージメント向上も意識し、自社オフィス周辺でも展開することでした。
実際に従業員からも「広告をよく観るようになった」という声ももらっています。
―社内での調整はスムーズでしたか?
理系学生をターゲットにして、位置情報を活用するという点について、人事部や担当役員、社長にも説明しましたが、「新しい取り組みだ」と好意的に受け取られました。
決め手になったのは、ターゲットに対し、マンションサイネージやTVerでダイレクトに訴求できる点です。限られた予算の中で、やみくもに訴求するのではなく、ピンポイントに訴求できる点が有効だと判断しました。
また、過去には広く浅く広告を放映した結果、視聴者の記憶に残りにくかったという反省がありました。今回は同じターゲットに複数回接触させることで、記憶に残すという考え方に納得感がありました。
キャラクター「そだまる」と、効果が見える広告
―公式キャラクター「そだまる」について教えてください。
当社と生活者の皆さんをつなげる日本曹達グループのキャラクターとして、誕生しました。20代から30代前半の若手社員を全国から集めたメンバーで検討し、親しみやすさや、当社の社章である雪ウサギをモチーフにし、かつ化学らしさをイメージできるキャラクターをイラストレーターの今井杏さんに形にしてもらいました。
グループを含めた全社員にアンケートをとるなど、皆で一緒に作り上げたキャラクターです。
今回放映したアニメーション動画では、短い時間の中でも、社名と「そだまる」の印象が自然に結びつくよう構成しています。

画像:日本曹達グループ公式キャラクター「そだまる」
特設サイトでも情報を発信しています
―効果測定については、どのように感じていますか?
口コミで動画を「見たよ」と言ってもらえることはありますが、どれだけの人に届いているのかが見えにくい点が、これまでの課題でした。今回は事後の効果測定で認知度がどれだけ向上したかを確認できる点が、社内報告をする上で非常に大きなポイントでした。今回のマンションサイネージ広告でどのような結果が出てくるのか、大変楽しみです。
提案内容についても、こちらの課題を丁寧に聞き取り、整理してくださったうえで、マンションサイネージという新しい切り口やエリアを絞った提案が印象的でした。配信までのスピード感や柔軟な対応もありがたかったです。
今後の広報・広告活動のビジョンと、日本曹達らしい伝え方
―今回の施策を進める中で、今後さらに取り組んでいきたいと感じていることはありますか?
学生向けだけでなく、より広い一般の方にも社名を知ってもらいたいという思いはあります。ただ、テレビCMを大々的に打つような予算はない中で、何が現実的な手法なのかという点は、正直まだ模索している段階です。以前から一般向けにもPRできないかという相談はしていましたが、限られた予算の中で、どのような施策が最も費用対効果が高いのか、見極めが難しいというのが率直な課題感でした。
―一般向けの認知を広げたいと考えた背景には、どのような理由があるのでしょうか?
今の採用ターゲットである学生層はもちろん、さらに下の世代の存在も大きいと感じています。具体的には中高生や、その保護者世代ですね。高校生が「日本曹達に入りたい」と思ったときに、親が当社をご存知かどうかは、かなり影響があると思っています。そのため、一般的な認知は必要だと考えています。
―最後に、今後の展開について考えていることや大切にしていきたいことを教えてください。
当社としては、真面目で誠実、地道でありつつ、親しみやすいというイメージを大切にしたいと思っています。「親しみやすく、温かい会社」というイメージを、そだまるを活用した広告を通じて少しずつでも多くの人に知ってもらえればと思っています。
そして業績も伴ってきているので、今はこの流れに乗って、広告活動も少しずつブーストしていきたいですね。

左から、オーマッチ株式会社 鈴木、日本曹達株式会社 岡田氏、日本曹達株式会社 田原氏
国内最大級の屋外広告プラットフォーム


