広告主事例

リーチ数より「関係者が発信したくなる意義」を。コラボレーションが生んだOOH広告の新たな価値|株式会社SQUIZ様

オンライン診療というデジタル起点のサービスにおいて、ブランドの価値やスタンスをいかに伝えていくか。多くの企業が抱えるこの課題に対し、株式会社SQUIZは複数のパートナーと連携した共同プロジェクトと屋外広告(OOH)を組み合わせた、ユニークな施策を実施した。
今回の施策で重視されたのは、広告の「リーチ数」や「費用対効果」といった従来の指標ではなかった。プロジェクトに携わった関係者一人ひとりが「自分の作品」として誇りを持ち、自発的に発信したくなる「意義」と「場所」を提供すること。
なぜ彼らは、数ある選択肢の中から渋谷・原宿のバス停広告を選んだのか。その裏側にある、熱量ある拡散を生み出すための緻密な戦略と哲学について、本プロジェクトを率いた株式会社SQUIZの奈良氏にお話を伺った。

株式会社SQUIZ奈良 実 氏

デジタルだけでは伝えきれないブランド価値。オフライン施策への挑戦

―奈良様の現在のミッションと、今回のオフライン施策に至った背景についてお聞かせください。
私の経歴は少し変わっていまして、プロのミュージシャンとして活動した後、化粧品会社で10年間、商品企画からマーケティング全般を担当しました。最終的には役員としてマーケティング本部長を務め、2023年の6月に弊社へジョインしました。
現在のミッションは、主軸であるデジタル広告以外の新しいチャネルを開拓することです。トップアライアンスやコラボレーション企画、オフライン施策などを担当しています。
弊社のオンライン診療サービス「Oops HAIR(ウープス ヘア)」は、その特性上、Webメディア経由のデジタル広告がユーザー獲得の主軸です。しかし、それだけでは伝えきれないブランドのスタンスや価値、イメージをより強固に構築していく必要性を感じていました。デジタルだけでなく、リアルな場や人を介したコミュニケーションを通じてブランド価値を高めていきたいという思いがありました。
―今回のプロジェクトは、複数のパートナーとの共同企画だったと伺いました。
原宿発のサロン「OCEAN TOKYO(オーシャン トーキョー)」、そして六本木のセレクトショップ「RESTIR(リステア)」といったパートナーとの共同プロジェクトです。ブランドのタグラインである「Enjoy your style forever」を、ファッションビジュアルとして表現することをコンセプトにしました。
このプロジェクトで最も重要だったのは、完成したビジュアルを単なるデジタル広告として配信するのではなく、多くの人々が集まるオフラインの物理的な場で、一つのメッセージとして掲げることでした。一緒に取り組んだパートナーの方々にとっても、オープンな場所でプロジェクトの成果を掲げることに、非常に大きな意義があったんです。

関係者が「自分の作品」として発信したくなる舞台装置としてのOOH

―今回の広告媒体として、渋谷・原宿のバス停広告を選ばれました。ロケーション選定における哲学を教えてください。
今回の広告の価値は、通行量(トラフィック)や何人に見られたかという「リーチ数」では全くない、と断言できます。正直なところ、認知を取れるかどうかは全く重要視していませんでした。
―リーチ数が重要ではない、というのは非常に斬新な考え方です。では、何を最も重要視されたのでしょうか。
最も重要だったのは、このプロジェクトに参加してくれたヘアスタイリスト、モデル、関係者たちが、完成した広告を「自分の作品」として誇りを持ち、自らのSNSで自発的に発信したくなる「きっかけ」と「場所」を作ることでした。
そのために、彼らが「SNSにあげたい」と思えるロケーションが不可欠でした。企画当初からエリアは「渋谷・原宿一択」。特にこだわったのは「写真映え」、もっと言うと撮影した際に背景に何が写り込むかです。
今回出稿した場所は、写真を撮ると背景に「Apple Store」や「Miyashita Park」が必ず入るんです。誰もが見れば「ああ、あの場所だ」と分かるアイコニックなランドマークが写り込むことが、絶対条件でした。
周辺に他のハイブランドの店舗が並んでいる環境に広告を出すことで、広告自体の価値や格が上がります。関係者にとっても「憧れのブランドが並ぶ中に、自分の作品がある」という見え方が、大きなモチベーションになると考えたのです。

「広告に見えない」世界観を創り上げたクリエイティブ戦略

―クリエイティブも非常に印象的でした。「オンライン診療の広告」には見えない、ファッションビジュアルに振り切った意図はどこにあったのでしょうか。
それも、関係者のポジティブな参加意欲を引き出すための重要な戦略でした。もしこれが「オンライン診療サービスの広告です」という建て付けだったら、おそらくここまでのクリエイティブは生まれなかったでしょう。
「純粋にかっこいいファッションビジュアルを撮る」という軸に振り切れたからこそ、皆が同じ方向を向いて、ポジティブな表情で参加してくれたのだと思います。
―モデルの方々も、プロの方ではないと伺いました。
はい。プロの専業モデルではなく、原宿や渋谷にいる、リアルでおしゃれなインフルエンサーを起用しました。スタイリングも、彼らが普段から着ている自身のスタイルに近いファッションを着てもらうことで、「着させられている感」をなくし、彼らが本来持つ魅力を最大限に引き出しています。そのリアリティが、ビジュアルの説得力に繋がったと感じています。

「なぜ、そこで、何をするか」という一貫したストーリーの重要性

―今回の施策は、奈良様のマーケティング哲学が色濃く反映されていると感じます。OOH施策を成功させる上で、最も重要なことは何だとお考えですか。
「なぜそこで、どういう理由で、どんな人たちと何をするか」という一貫したストーリーです。ただ広告を出すのではなく、その裏側にある文脈や意図が、二次的・三次的な効果に繋がると考えています。
単に「仕事でこれをしました」と報告されるのではなく、当社の思いやブランドを、自分の言葉で再発信してもらうこと。そうして生まれる「熱量のある拡散」の方が、人の心に刺さると考えています。今回のプロジェクトは、その起爆剤を作るためのものでした。
―従来のマーケティング指標とは異なるアプローチですが、社内での承認はどのように得られたのでしょうか。
リーチ数や費用対効果の話は一切しませんでした。その代わり、今回の施策を「プロジェクトの成功を祝う記念としての出稿です」と位置づけ、その「意義」を強く訴えました。明確な意図とストーリーがあったからこそ、承認を得られたのだと思います。
―最後に、今後の展望をお聞かせください。
今回のような、ブランド価値を高めるプロジェクトは今後も継続していきたいです。マス広告ももちろん有効な手段ですが、まずは「何をすべきか」というプロジェクトありきで、その中で最適な広告手法を選んでいきたいと考えています。


左から、株式会社SQUIZ 奈良 実 氏、オーマッチ株式会社 鈴木

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