SNSやデジタルがマーケティングの中心に据えられる一方で、OOHは「効果が見えにくい」「数値化しづらい」という理由から、検討の優先度が下がってしまうケースも少なくない。
しかし、OOHだからこそ担える役割があり、適切な文脈の中に組み込むことで、
ブランドやファンとの関係性を強める装置になり得る——。
そう語るのが、トライバルメディアハウスだ。
今回は、ブランドマーケティングとエンターテインメントマーケティングのレーベル
「Modern Age/モダンエイジ」を率いる髙野氏と、プランナー/ディレクターとして統合的なコミュニケーション設計に携わる惣田氏に、トライバルメディアハウスの立ち位置、ファンダムマーケティングの考え方、そしてOOHをどのように位置づけているのかについてお話を伺った。

株式会社トライバルメディアハウス 取締役CVO Modern Age/モダンエイジ レーベルヘッド髙野氏

株式会社トライバルメディアハウス トライブコミュニケーションデザイン部 リーダー/コミュニケーションデザイナー惣田氏
【株式会社トライバルメディアハウス コーポレートサイト】
https://www.tribalmedia.co.jp/
マーケティング・ナレッジメーカーとしての立ち位置
―まずは、お二人のこれまでのご経歴と現在の役割について教えてください。
トライバルメディアハウスで、ブランドマーケティングとエンターテインメントマーケティングのレーベル「Modern Age/モダンエイジ」のレーベルヘッドを務めています。職種としてはクリエイティブディレクター兼プランナーで、SNSやデジタルの印象を持たれることが多いのですが、実際にはテレビCMやOOHを含めたIMC(統合型マーケティングコミュニケーション)全体を、フルスクラッチで企画・統括することも多くやってきました。(髙野氏)
私はこれまで6年ほど、デジタルマーケティング領域でプランナーやディレクターとして活動してきました。SNSだけでなく、クライアントの課題解決という観点でOOHやブランディング、プランニングにも関わってきていきたいという思いから、2025年にトライバルメディアハウスに入社しました。現在はSNS、OOH、記事・コンテンツ制作、アーティスト戦略など、幅広い領域を担当しています。(惣田氏)
―業界の中での御社の立ち位置や強みは、どのように捉えていますか?
弊社はずっと「マーケティング・ナレッジメーカー」を標榜しています。代表の池田をはじめ、これまで18年ほどの中で多くの書籍を出してきましたが、それは流行っているからではありません。「正しいマーケティングとは何か」を突き詰めたいという思いが根底にあります。
お客様の要望に対しても、それが本質的でないと感じれば「違います」と言いますし、場合によっては「弊社ではなく、別の会社の方が良いと思います」とお伝えすることもあります。
マーケティングに対して、かなり真摯に向き合ってきた自負があります。
―現在、御社が強みとしているソリューションについて教えてください。
大きく分けると4つあります。
1つ目が戦略コンサルティングです。売上やブランドの課題を構造で捉え、「何が足りていないのか」を整理します。これは、代表の池田が2022年に出版した『売上の地図』に掲載している、売り上げの構造を俯瞰した考えがベースになっています。2つ目がSNSを含めたIMC。3つ目がエンターテインメント業界のマーケティング。4つ目がファンダムマーケティングです。
戦略から入り、全体最適な解を導き施策までつなげて実行できること、そしてこれらを分断せずに横断的に扱えることが、他社との大きな違いだと思っています。
数値化しにくいOOHを、ファンダムマーケティングの文脈で見る
―OOHの提案は、どのような案件で発生することが多いのでしょうか?
最近だと、ヘアケアブランドヤマサキの「ラサーナ」の事例が分かりやすいと思います。IPとブランドを掛け合わせたファンダムマーケティングのIMCを行い、OOHも含めて大きく展開しました。
SNSをハブとしてコミュニケーションを豊かにする際、自然とOOHが選択肢に入ってきます。
―OOHの位置づけについては、どのように考えていますか?
OOHだけを単体で置いても、正直あまり意味はないと思っています。ただし、それはOOHがダメだという話ではありません。OOHは「役割」なんです。
SNS、OOH、テレビ、Webなど、すべてをフラットに見たうえで、その中でOOHが一番ハマる役割を担うのであれば使う、という考え方です。
ファンダムマーケティングの場合、OOHは「認知を取るため」というより、ファンが喜び、写真を撮り、語りたくなる文脈をつくるため、IPとファンダムとブランドのコミュニケーションのの装置として機能します。
ラサーナの事例でも、OOHを出したからといって、その瞬間にシャンプーが何本売れたかは分かりません。ただ、OOHをきっかけにファンが写真を撮って投稿したり、文脈の中でもOOHが機能すればブランドへの好意が高まったりする。それが売上にも跳ね返ってくるし、買う理由を強化することができます。そうした積み重ねが、結果としてブランドを強くしていくと考えています。
今回一緒に取り組んだ、飲食店でのプロモーション実施における背景
―今回の施策では、どのような背景や狙いがあったのでしょうか?
今回の施策は、短期間のイベントで「来店をしっかり作る」という目的が前提としてありました。デジタル広告で認知を取っていくこと自体はこれまでもやってきていますし、今回もSNSを中心に発信はしています。ただ、イベント期間中に実際に足を運んでもらうという点では、駅周辺や街の中で物理的に接触できる手段が必要だと考えました。
その中で、駅周辺の方々に「何かやっている」と気づいてもらい、行動のきっかけをつくる手段として、OOHを組み込んだ形になります。
―なぜ様々なOOHがある中で、今回「飲食店へのポスター掲出」という形を選ばれたのでしょうか?
今回の施策では、クライアントから「ユーザーと一緒に盛り上がるプロセスを作りたい」という要望がありました。単に広告を見る、という関係ではなく街やお店、ユーザーも含めて、イベントを一緒に作っている感覚を持てる形にしたい、という文脈です。
OOHのフラッグや大型ビジョンなど、他の選択肢も当然ありましたが、より「一緒に作っていく」という体験に近づけるには、街のお店に協力してもらい、生活動線の中に自然に溶け込ませる形が合っていると考えました。
―飲食店に絞った背景には、どのような意図があったのでしょうか?
今回の施策の文脈から焼き鳥店、というアイデアもありました。ただ、業態で絞ると掲出候補となる店舗数が限られてしまうため、居酒屋という形で少し幅を持たせつつ、イベントに参加する前後で立ち寄る場所、街の中で自然に目に入る場所として、飲食店が一番フィットすると判断しました。
―OOHを実施するにあたって、社内でのハードルはありましたか?
一般論として、デジタル広告は数値化しやすい一方で、OOHは「どれくらい見られたのか」「どんな効果があったのか」が見えにくいという課題は常にあります。特に今回のように、飲食店へのポスター掲出といった施策では、その点は社内でも議論になりました。
ただ、クライアントが「新しさ」や「面白さ」、そしてユーザーと一緒に盛り上がるプロセスを重視されていたこともあり、チャレンジとして企画を通すことができたと思っています。
―実際に実施してみて、どのような手応えがありましたか?
定量的な数値で「これだけ売れた」と言えるものではありませんが、街やお店と一緒にイベントを作っている感覚は、確かにありました。
イベント前後で街の中に熱量が生まれているのを感じられたのは、大きな手応えでした。
オーマッチとの取り組みでつかんだ手応え
―今回、オーマッチに依頼して良かった点を教えてください。
OOHについて、かなり初期の段階から幅広く相談できた点が大きかったです。「まずは何でも相談してください」と言っていただけたことで、企画の前提から一緒に考えることができました。
また、OOHは数値化が難しい中で、高精度なシミュレーションを出してもらえた点も助かりました。データをもとに説明できることで、社内調整やクライアントへの説明のハードルが下がったと感じています。
トライバルメディアハウスが大切にしていること
―最後に、今後もOOHやコミュニケーション設計において、大切にしていきたいことを教えてください。
僕らとしては、OOHを含めたすべての施策において、「それは意味があるのか」「文脈として正しいのか」という点を、これからも大切にしていきたいと思っています。
単発で目立てばいい、話題になればいい、ということではなくて、ブランドとしてどう記憶され、どう愛されていくのか。そこにきちんと向き合い続けたいですね。(髙野氏)
OOHに限らずですが、コミュニケーションは「設計や文脈次第」で見え方が大きく変わると思っています。数値だけでは測りきれない部分も含めて、クライアントやユーザーと一緒に作っていくプロセスを大事にしながら、これからも取り組んでいきたいです。(惣田氏)

左から、オーマッチ株式会社 枳穀、株式会社トライバルメディアハウス 惣田氏、株式会社トライバルメディアハウス 髙野氏、オーマッチ株式会社 鈴木
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