ネット完結の手軽さとわかりやすさ で支持を集めるライフネット生命保険株式会社。同社はテレビCMを積極的に展開し高い認知度を誇る一方、さらなる顧客層へのアプローチとしてOOH(屋外広告)も活用してきた。
今回は、マーケティング部でプロモーションを担当する青木様と、広報を担当する河村 様にインタビュー。主力のテレビCMに加え、あえて交通広告に取り組んだ狙いとは何か。効果測定が難しいとされるOOHとどう向き合い、どのような工夫を凝らしたのか。同社のメディアミックス戦略の裏側に迫る。

ライフネット生命保険株式会社 マーケティング部青木 雄太郎 氏

ライフネット生命保険株式会社 ブランドマネジメント部河村 有紀 氏
「必要な保障を、必要な人へ」シンプルさを追求する保険サービス
ー 貴社の事業概要とサービスの強みについてお聞かせください。
私たちは、インターネットを活用して生命保険をお届けしている会社です。契約に関する手続きが原則ネットで完結するため、人件費などを抑えることでお手頃な保険料を実現しているのが特徴です。
強みとしては、商品の「シンプルさ」と「わかりやすさ」を大切にしています。また、少し珍しいかもしれませんが、「保険に入りすぎないでください」というメッセージを発信しており、お客様一人ひとりにとって本当に必要な保障だけを提供するというスタンスを貫いています。これは保険会社として珍しいのではと思っています。
ー どのようなお客様をメインターゲットに据えているのでしょうか?
元々、子育て層をはじめとする若年層を意識した商品を展開してきた経緯があり、現在も若年層の方々に届けることを意識してプロモーションしています。
結婚や出産、お子さまの進学など、ライフイベントの変化に応じて必要な保障は変わってきます。私たちのサービスは、その時々のライフステージに合わせて自分に合った保障を選べるため、これからライフステージの変化が多いファミリー層の方々にフィットしやすいと考えています。とはいえ、ファミリー層だけでなく、 より多くの人に本当に必要な保障を届けていきたいという想いを持っています。
視聴者の高年齢化の進むテレビCM。若年層へのリーチを求め「交通広告」へ
ー 様々なプロモーションを展開されていますが、全体としてどのような目的を掲げているのでしょうか?
最終的なゴールは、お客様に保険をご契約いただくことです 。その達成のために、まずはライフネット生命のことを知っていただき、商品を比較検討の候補に入れていただく必要があります。そのため、プロモーションごとに「第一想起」や「認知度」 といった指標を重要視しています。
ー 貴社といえばテレビCMの印象が強いですが、OOH、特に交通広告を出稿されていたのには、どのような狙いがあったのでしょうか?
テレビCMは広く認知を獲得する上で非常に有効ですが、視聴者層が高年齢化しつつあるという側面もあります。私たちが届けたい若年層・ファミリー層へアプローチするには、テレビだけでは不十分だと感じていました。そこで、テレビでは補いきれないターゲットとのタッチポイントをいかに増やせるか、という考え方からOOHの活用を検討しました。
過去に電車内広告で調査を行った際、若年層の認知度や指名検索数のリフト(上昇率)が比較的高かったというデータもあり、交通広告は有効な手段だと考えたのです。
ー オンライン広告とオフライン広告との役割分担はどのような認識なのでしょうか?
それぞれ違った狙いをもっています。オフライン広告の主な役割は企業認知の獲得といったところです。それに対して、オンライン広告はオフライン広告で獲得した認知の「受け皿」としての役割を持たせています。オフライン広告で生んだ興味を、いかにオンラインのアクションに繋げるかが重要であると考えています。
若年層にアプローチできるWeb広告としてYouTubeやNetflixなどのVODを利用する方法はありますが、スキップされやすく、内容がきちんと見られない傾向が他の媒体より強いという 側面もあります。
対して、OOH広告は受動的に目に入るため、ブランド毀損リスクが低いという観点もありました。また、 テレビCMは数十年の歴史の中で当たり前のものとして受け入れられているという考えです。
私たちは2008年に開業し 、業界の中ではまだ歴史が浅い会社です。だからこそ、お客様に信頼・安心してサービスを選んでいただくことが非常に重要だと考えています。CMとOOHでクリエイティブを連動させることも、一貫したメッセージを発信する企業としての安心感に繋がれば、という意図がありました。
「あ、ここでも見た」を生み出す。CMと連動させたクリエイティブのこだわり
ー OOHのクリエイティブ(広告デザイン)では、どのような点を意識されましたか?
OOHだからといって特別な見せ方をするのではなく、当時放映していたテレビCMの素材とクリエイティブを合わせることを重視しました。複数の場所で同じクリエイティブに接触することで、お客様に「あ、テレビで見たものだ」「ここでも見たな」と感じていただき、接触回数を重ねることで記憶に焼き付けてもらうことを狙いました。
交通広告ならではの工夫も試みました。私たちのサービスには「10秒見積り」という手軽さを伝える訴求があるのですが、それを活かして「目的地に着くまでの間にぜひ」といったコピーを入れ、移動中の隙間時間での利用を促す工夫もしました。
他にも、QRコードを載せるか載せないか、という議論がありましたね。最終的には、あえてQRコードは入れずに「検索窓」のデザインを配置しました。これは、「QRコードを読み取らせること」が目的になるのではなく、あくまでライフネット生命という社名で自ら検索してもらい 、「自分でも見積りができるんだ」という手軽さを認知してもらうことを優先した結果です。
OOHの確かな手応えと今後の展望
ー OOHの効果はどのように測っていたのでしょうか?
ブランドリフト調査やサーチリフト調査のほか、出稿したエリアのサイト来訪者数が期間中にどう変動したか、といった実数値も見ていました。
ー 実際に、効果はいかがでしたか?
OOH出稿後のアンケート調査では、実際に認知のリフトが確認できました。私たちは「認知度の向上が、申し込みに繋がる」という仮説を持ってプロモーションに取り組んでいます。仮にすぐに結果が見えなくても、お客様の記憶に残り、いざという時に想起される存在になるという仮説を立証する上で、OOHは一定の役割を果たしてくれたと考えています。
ー クリエイティブはどのように効果に影響を及ぼしたのでしょう?
当社の場合、 タレントを起用したクリエイティブでは、ブランドリフトの数値を効率的に上げることができたと考えています。一方で、サーチリフトの観点では、同じクリエイティブを出し続けることが必ずしも最適とは限らない場合があります。私たちの最終的な目標である申し込みに近いのは指名検索数の増加であるため、社内の会話ではそちらを重視しがちでしたが、認知度向上を軽視はせず、両方のバランスをうまくとることを意識していました。

ー 今後のプロモーション活動の展望についてお聞かせください。
テレビCMと他のメディアの組み合わせを試し、全体のプロモーションの最適化が可能なプロモーションはなにか。あるいはそれよりも効率の良い施策があるか。常に様々な観点からあらゆる可能性を模索し、検討している段階です。
OOHは効果の可視化にこそ難しさはありますが、私自身もその価値をポジティブに捉えています。今回のお話が、同じようにOOHの活用法や効果測定に悩む企業の皆様にとって、何かしらのヒントになれば嬉しく思います。
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